「公ちゃん。猿蟹合戦ってどんな話だっけ?」
「あれだろ、スターウォーズの元ネタ」
「え、本当?」
「あ、それは七人の侍だったな」
「おしいね!」
「猿と蟹が戦うんだよな」
「そだっけ?」
「いや、タイトルまんまだし!」
「蟹だけにタシカニ〜!」
「昔々、猿の将軍の織田信長と蟹の将軍の可児吉長が海辺で戦うんだよ」
「え、信長? 猿は豊臣秀吉でしょ?」
「は? 秀吉ははげねずみだし!」
「あっ、そっちだ!」
「だから、信長が猿でもいいんだし!」
「だね! で、信長と誰だっけ?」
「カニヨシナガ!」
「なんか信長と名前被るね!」
「じゃあ、可児才蔵な!」
「え、サイゾウ?」
「そう、めっちゃ強いんだぜ!」
「え、ハサミで戦うの?」
「ちげぇし! 才蔵って言ったら槍だろ!」
「え、っあ! もしかして笹の才蔵!?」
「そう、そいつ!」
「沙羅魅わかった!」
「なんだ、思い出したんじゃん!」
「関ヶ原でめっちゃ人殺した人!」
「そう、それそれ!」
「殺した首を持って歩くのが大変で、殺した首の口の中に笹入れてたんだよね!」
「な! パンダもびっくりだぜ!」
「でも、なんで笹入れたの?」
「そりゃ、腐りにくくするためだろ!」
「あぁ〜、おばあちゃんの知恵袋!」
「抗菌作用様々だぜ!」
「じゃあ、関ヶ原って猿蟹合戦のことだったんだね!」
「は?」
「え?」
「信長は関ヶ原の時にはすでに死んでるし」
「あっ! そうかも!」
「かもじゃなくて、そうだし!」
「えっ、じゃあ猿蟹合戦って、いつ?」
「そりゃ、信長が死んだ時だろ!」
「え! 本能寺の変ってこと!」
「それな!」
「でも、猿蟹合戦って昔話でしょ? 本能寺の変は歴史の1ページだよ!」
「じゃあ、おめぇ牛若丸と弁慶って知ってるか?」
「うん。知ってる!」
「あれも昔話だけど、歴史の1ページだぜ!」
「え? 本当に?」
「大河ドラマで弁慶やってるじゃん。ってことは史実であって事実だぜ!」
「あっ、ダジャレ!」
「たまたまだし!」
「そっか! タッキーとマツケンがドラマやってた!」
「だろ! ってことは、昔話になってても歴史の1ページってことがあり得るわけ!」
「そだね!」
「じゃあ、猿蟹合戦ってどんな話?」
「そりゃ、蟹をバカにした猿を仲間達がこらしめに行く話だぜ」
「え、どんな風に?」
「昔々に才蔵がおにぎり喰ってたら、信長が柿の木の上から才蔵に罵詈雑言を言うわけ」
「うんうん」
「でも、才蔵はまったく気にしねぇの」
「うんうん」
「で、信長が泣かぬなら泣かしてやるって言って渋柿投げてぶつけて才蔵泣かすわけ」
「へぇ〜」
「で、才蔵が信長にやられたよ〜って、明智光秀に泣きついて仕返しに行くんだぜ」
「へぇ〜、ドラえもん的〜」
「敵は本能寺にありって言って、猿狩りに行くんだよ!」
「あっ、それ知ってる! だから、猿狩合戦なんだね!」
「そこ蟹な!」
「あっ、そうだ!」
「で、栗のような顔で蜂のような槍を持ち牛糞の様な体臭の斎藤利三が信長を半殺すわけ」
「うわ、なんか珍獣出てきた!」
「人だし!」
「で、逃げようとした信長の上に臼のような光秀がトドメを刺すわけ!」
「あぁ、それ沙羅魅の聞いたことある猿蟹合戦まんま!」
「ということで、光秀の三日天下が始まるっていうので、めでたしめでたし」
「へぇ、昔話って意外と全容覚えてないものだね!」
「子どもの時に聞くぐれぇだもんな!」
「今日は猿蟹合戦思い出せてよかった!」
めでたしめでたし
『トッピングカップル 1554』