「あっ、門松だ!」
「だな」
「見てよ! めっちゃ門松だよ!」
「そんなに騒ぐことか?」
「だってもうお正月が来るんだよ! 嬉しいでしょ?」
「別にそんなに嬉しくはねぇな」
「え〜! 美味しい料理とお年玉だよ!」
「おめぇはお年玉もらえるから嬉しいだろうけど、オレはもうもらえねぇぞ」
「へぇ〜。大人になるって悲しいね!」
「おめぇも同じ年だろ!」
「え〜、それとこれとは話が別だよ!」
「いやいや、年齢はみんなに平等だし!」
「寿命は不平等だけどね!」
「まあな。寿命は残酷なほどに不平等だよな!」
「あっ、門松!」
「デジャブかよ!」
「え?」
「それさっきも言ってたろ」
「え? 毎年だよ」
「……。そだな」
「あっ、門松!」
「だな」
「おせち早く食べたいな〜」
「そんなに楽しみか? あんまり期待するもん入ってねぇだろ」
「入ってるよ! チキンとかかまぼことか!」
「チキンはねぇだろ。てか、両方普段から喰えるもんだし!」
「そうだけど、おせちは葛籠の中に入ってるのを食べるのが美味しいの!」
「はぁ? それを言うなら重箱だろ?」
「あっ、それそれ! 重箱の隅!」
「別につついてねぇし」
「え? 藪から棒?」
「は? 藪蛇だろ?」
「え?」
「は?」
「え?」
「ん?」
「門松かわいい〜」
「話そらすな!」
「だってよくわかんないんだもん」
「てか、あれ松じゃなくて竹じゃん!」
「あ〜! 本当だ〜! 門竹だ〜!」
「となると、ランク下がるな」
「え?」
「梅の下になったってことだし!」
「なるほどね! うなぎだけに上手いこと言ったね!」
「は? オレが考えてたのは寿司だし!」
「どっちでもいいじゃん。どっちも魚なんだから〜」
「だな!」
本当は梅の上だよ!
『トッピングカップル 12.28』