「通勤ラッシュやばいね！」
「やべぇな！ 通勤ラッシュ！」
「うん。やば過ぎ通勤ラッシュ！」
「てか、おめぇ声でけぇ！」
「大丈夫。いつも通りだから！」
「いやいや、今はボリューム下げろってこと！」
「じゃあ、4だけ下げとくね！」
「珍しく素直だな」
「てか、こんなの乗るなんてみんな頭おかしいよね」
「おかしくねぇし！」
「おかしいよ〜。毎日こんなん乗ってたら疲れちゃうよ、朝から」
「しょうがねぇだろ。出勤も仕事の内だぜ」
「おかしいよこんなの、きっとJRが儲けようとしてるんだ！」
「それはJRが悪いんじゃねぇ、全部社会が悪いんだ！」
「出た！ 歩く哲学者！」
「別に哲学でもなんでもねぇし！」
「だね、電車の中だから歩いてなかった！」
「まぁ、そういうことだな！」
「で、どこで降りるの？」
「自分の降りる駅ぐらい知っとけよな！」
「なんで、公ちゃんに付いてけばいいだけでしょ？」
「まぁ、そうだけどな」
「で、どこで降りるの？」
「東京だし」
「え、ここは全部東京でしょ？」
「だから、東京駅ってこと！」
「へぇ、東京ディズニーランドだけに東京駅にあるんだね！」
「ちげぇし！ そこから乗り換えんの！」
「そっか！ 最寄りはどこ？」
「そりゃ、ディズニーランド・ステーションに決まってるだろ！」
「何線？」
「ディズニーリゾートライン！」
「え、どんな電車？」
「モノレール！」
「あっ、上野動物園から出てるやつ！」
「それは別のやつ！」
「そっか、羽田から出てるやつ？」
「それも別！」
「じゃあ、どこから出てるの？」
「リゾートゲートウェイ・ステーションだし！」
「あっ！ 品川と田町の間にできたとこ！」
「それも別！ おめぇの頭の中の日本地図どうなってんだよ！」
「北海道があって、本州があって、四国と九州があるよ！」
「なんだ、わかってんじゃん！」
「うん。わかるよそれぐらい〜！」
「お、東京に着くぞ！」
「やった！ 都会だね！」
『トッピングカップル 279-0031』