あの子の名は?

投稿日:2019-06-11 更新日:

「この映画なんだろね」
「たぶん昔の有名なやつだな」
「え、そんな有名? さえない俳優さんが話してるけど」
「これオレが前に見たことあるぐらいだから有名だよ」
「公ちゃん。自分が知ってるから有名なやつって考え方はやめた方がいいよ」
「だまってろよな。今思い出してんだから~」
「もう~。自分勝手なんだから」

「あ、これローマの休日だな」
「なにそれ~。めちゃくちゃ知らない~。有名じゃないじゃん!」
「有名だし! オードリーが出てきたらおめぇも一発でわかるし!」
「え、これ春日出んの!?」
「そっちじゃねぇし!」
「なんだ~、若林の方か~」
「だからそっちじゃねぇから!」
「え、ナイスミドル?」
「それどっから出た?」
「じゃあ、うにいくら?」
「だから喰いもんの話は今してねぇから!」
「それもちがうなら、チーズワイン?」
「それは出るかもしんねぇけど、洋画には大抵出て来るだろ!」
「そんなこと言ったら邦画にだってワインぐらい出てくるよ!」

「オードリーっていったらヘップバーンだろ」
「あ~、名前なら聞いたことある!」
「いやいや、顔も見れば一発でわかるし」
「え~、そんな有名な人?」
「当たりめぇだろ。あんな美人一回見たら忘れらんねぇよ」
「え、沙羅魅より美人?」
「当たりめぇだろ!」
「ひっど~い!」
「だから何度も言ってるだろ!」
「なにを!」
「おめぇは美人ていうよりかわいいんだよ!」
「もう~w それなら早く言ってよ~w」
「痛てぇし、春日を叩く若林みたいにオレのこと叩くな!」
「嬉しいからつい~w」
「これ絶対ぇ明日あざになってるわ」
「公ちゃんもボディービルダーみたいに鍛えればいいんだよ♪」
「オレはムキムキになんかなりたくねぇんだよ」
「やれやれ、公ちゃんは筋肉のよさをわかってないんだから~」
「いいんだよ。オレは使わねぇ筋肉はつけねぇ主義なんだよ」
「使わない筋肉?」
「必要以上ってこと、ムキムキにしてなんのメリットがあるんだよ?」
「目の保養」
「いやいや、おめぇと違ってムキムキ好きじゃないやつもいるから」
「へぇ〜」
「もう興味ないのかよ」
「ちょっと静かにして、可愛い人でてきたんだから!」
「おっ、あれがヘップバーンだし!」
「え! めっちゃ色味ないじゃん!」
「は? 白黒映画なんだからあたりめぇだろ!」
「え、沙羅魅の知ってるヘップバーンじゃない〜」
「マジかよ、あれ以外にヘップバーンいるのかよ!」
「うん。すごいカラフルな子だよ!」
「なんだよその情報?」
「あと絵なの!」
「え!?」
「そう絵なのに動くの!」
「なんだよアニメかよ」
「アニメじゃないよ」
「紙芝居?」
「だから、Vtuber!」
「おい、そういうことかよ!」
「だから言ってるでしょ!」
「で、名前は?」
「だからヘップバーン!」
「あ〜! アップルパイナポーみたいな名前のやつか!」
「それそれ! ペンパイナポーみたいなヘップバーン!」
「なんだっけ、パイナポーアッポーペンじゃねぇし」
「ああああああぁああぁあぁぁああぁぁぁあぁ〜!!!」
「うお! なんだよ急に!」
「手が食べられた〜!!!!!!!!!!!」
「真実の口のシーンでマジで驚くやつ初めて見たし!」

「輝夜月じゃなくて〜」
「なんで急にデスノートなんだよ」
「それはライト。こっちはルナ!」
「Vtuberの話かよ」
「名前思い出せないね」
「な、出てこねぇな」
「じゃあ、いっか」
「そだな、たまにはこういうこともあるしな」
「ね、今日は休日だもんね」
「おめぇは毎日休日だけどな」
「まあね!」

『トッピングカップル PPH』

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